介護疲れと高齢者虐待

2015年6月16日 / 彷徨う人

 一見、弱い者いじめを連想させる高齢者虐待。「育ててもらった恩を忘れてなんてひどいことをするんだ」と思う人もいるかもしれないけど、そう単純な話ではない。
 家庭内暴力の続きか、すなわち、親が年をとって、子どもの暴力を押さえきれなくなったのか?子どものころ虐待を受けた子どもが親に対して仕返しをしているのか?
 もちろん、そうではない。家庭内暴力で親に迷惑をかけた少年はすっかり更生し、反省し、むしろその頃のことを償うために親孝行したいと思っているし、虐待を受けていた子でさえ、弱ってしまった親を見ると、過去のことは水に流して親孝行したいと思っている。
 親の介護をしたことがある人なら、なぜ虐待が起こるのか説明をするまでもなくわかることだが、そうでない人には説明をしてもわからないかもしれない。
 恩を忘れたわけではなく、むしろ恩返しをしたいのに、恐ろしい現実を目の当たりにしたとき、脳を素通りして身体が衝動的に動きそうになるのだ。そして、辛うじて身体を止めることができたとしても、気づくと、あり得ない暴言が口を飛び出しているのだ。なぜならば、かつて、力強く仕事に邁進していた父が、ずぼんを大便で汚してうろたえるからである。かつて、優しく、限りない愛情を注いでくれた母親が、お金を盗ったんじゃないかと自分に疑いの目を向けて罵るからである。
 病気がそうさせているのだと頭ではわかっていても、身体がこれを受け入れられない。これが虐待の正体である。

 一人で、あるいは家族だけで介護を頑張ってはいけない。また、完璧な介護を目指してはいけない。
 自分の親の介護は人に委ね、人の親の介護を自分がするというくらいの気持ち。心穏やかに暮らしてさえいれば、老人ホームの中で退屈をしていても仕方ない。週末に一度だけ顔を見に行くだけでいいという気持ち。 それくらいでいかないと。

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